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【ハイキュー】エンノシタイモウト第三部

第5章 【スタッフ:まま兄】


力は片手を顎のあたりにやり、美沙のパソコンの画面にまた目をやる。ふとハンドルネームままコ名義で今現在一番新しい動画を思い出した。

「あれじゃないか。」

あれってと美沙が聞き返した。言いながらもその手はキーボードを叩いて挿入した画像の表示時間を入力している。流石というべきか。

「お前の動画、最初に比べたらぐっと演出の幅広がってるから。」
「せやろか。」
「だって一番最初の動画、編集ソフトで付け足したの字幕と場面切り替え1種類と後は紙吹雪みたいなの散らすくらいだったろ。」
「まー、確かに。」
「でも一番新しい動画はもっと色々ついてるよな。場面切り替えは複数パターン組み合わせ、紙吹雪みたいなのは画像差し替えて散り方も調整して、人物の後ろには影つけて、背景の画像は配置弄ってしかも回転させて、ああそうだ、何か矢印がだんだんあっちこっちに伸びてくのもあったよな。」
「つまり兄さんどゆこと。」

首をかしげる義妹に力は微笑んだ。

「つまり色んな事が出来るようになった分やりたい事も種類が増えたからさ、思いついたのを覚えきれなくなったんじゃないか。」

美沙はおお、と納得した。

「それあるかもっ。」
「何にせよ本当にレベル上がったな。」
「そういや直近の動画に演出が進化してるってコメントつけてくれた人がおった。」

えへへと照れ笑いをする美沙、力はそのコメントを聞いてふとどこかの超攻撃型セッターを思い浮かべる。確か動画サイトで投稿者ままコをブックマークしてなかったか、あの人は。

「あ、後ね、兄さん。」

力の思考をよそに美沙が言う。

「私の動画は熱意感じるって言うんもあった。」
「凄いじゃないか、良かったな。」

力は思わず義妹の頭を撫で、義妹はこれまた嬉しそうに目を細める。普段はあまり見せない言わばデレた状態だ。美沙らしい反応だ、と力は思う。
絵は下手で再生数は4桁行かずコメントだって3つついたらまた良い方と言うのに(一つだけ再生数6000越え、コメント数が60行ったのがあるが)それでも喜ぶところがいい。人気なけりゃ意味ないだろと思うかそうじゃないのかは人によるしどちらも否定するものではないけれど、美沙には1人でも見てくれたら嬉しいと思う方向が合っている気がした。
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