第35章 【三度目の終わりと少しの未来の物語】
「うおおおおおお、キタキタキターっ。」
「龍っ、飲みに行こうぜっ。」
「おうよノヤっさんっ。」
「田中、西谷うるさい。」
「お前ら高校ん時から進化ねーのかよ。」
「こまけえことはいいんだよっ、久志と一仁も来いっ。」
「巻き込み決定なのか。」
田中龍之介、西谷夕は無駄なハイテンション健在で成田一仁と木下久志はやれやれと苦笑している。
「まずは第一段階、か。次は招待状だな。木兎さんは何見てんです。」
「あかーしが笑ってたっ。」
「どこ見てんですか学生の頃から進化なしですかとにかく人の私信を覗こうとしない、はいあっち行って。」
赤葦京治は木兎光太郎をあしらいながらもクスリと笑う。
「来たよ岩ちゃん。」
「まーこっちゃもともとわかってたけどよ、晴れて公認って訳だ。」
「ハンドルネームままコちゃんもアイドル卒業かあ、ちょっと寂しいな。」
「いや前からアイドルじゃねーだろ。」
「ううー、嬉しいけど複雑だよー、羨ましいっ。あーあ、どっかに落ちてないかなあ可愛い義妹ちゃん。」
「よりどりみどりの癖にうるせえぞ、マリアナ海溝に沈んどけクソ川。」
「地理混ぜた罵倒やめてっ。」
及川徹と岩泉一はわいわい言いながらもその実やっとかと安堵している。
守りたいと思った、ずっと自分だけのものでいてほしいと思った、離れたくないと思った、離されたら生きていけないと思った、ずっとこの人といると決めた。それは自分で決めた。
「力さん。」
「綺麗だよ、美沙。」
「ホンマに。」
「嘘ついても仕方ないだろ。ほら、みんな待ってる。」
「はい。」
マイクからの音声が響く。
「それでは新」
拍手で迎えられる。義父母いや、いまや本当の両親と呼んでもいいくらいの家族が微笑んでいる。号泣している野郎どもが友にまだ早いだろと突っ込まれている。恩師が涙をぬぐっている。愛する人が今更顔を赤くして緊張している。
美沙は今迄で一番の笑みを浮かべた。