第34章 【その後の対外報告】
「親父さんもラッキーなこった、本当なら恨まれても文句は言えねーってのに。」
「恨むんはもう嫌、しんどいもん。」
「何これ超いい子、縁下君ずるい、俺も欲しい。」
「及川さんの場合は浮気しても文句言わない子が良いだけでは。」
「酷いっ。俺はハンドルネームままコちゃんのファンなのにっ。」
「おめーは子供もいるとこで教育に悪そーな事抜かすんじゃねえっ、気持ちわりいっ。」
「岩ちゃんの物言いの方が教育に悪いよっ。」
「美沙、嬉しそうだね。」
「このスープ美味しい。」
「良かったな。」
「おい、現実逃避して2人の世界に浸るなそこの夫婦予備軍。」
岩泉に言われてたちまちのうちに力がびくりと肩を震わせ、美沙はふぎゃんっと小さく叫ぶ。それでもスプーンを落とさないところが美沙クオリティだ。
「勘弁してください、岩泉さん。」
「言い逃れ出来るんならやってみやがれ。」
「手厳しいわぁ、ホンマ。」
「言いながらきっちり飯食ってんじゃねーよ、何気に度胸あるよな流石半分ボケ。」
「まーまー岩ちゃん、落ち着いて。」
及川に肩をペフペフやられて岩泉はやや不満ながらも静かになる。
「なんにせよ本当に良かったね。今更引き裂かれたら2人共生きてけないとこじゃない。」
「お恥ずかしい話ですが、正直そんな所でした。」
ここで美沙がこっそり力の片手をぎゅっと握り、力は握り返す。