第34章 【その後の対外報告】

「亡くなってたって聞かされとったホンマのお父さんと遭遇しました。一瞬自分とこ来ぉへんかと聞かれましたけど嫌やって言うたら引き下がりはりました。」
「美沙さんも相変わらずだね。」

茂庭はため息をつくが美沙はやはりはて、と首を傾げる。

「それはともかく良かったって事でいいのかな。」
「はい、兄から離されずに済みました。私にとってはそこが大事です。」
「縁下君は果報者だな、ここまで慕ってくれる妹さんがいて。」
「どうですかねぇ、べったり過ぎって気もしますケド。」
「だから二口はやめなさいって。」
「茂庭さん主将やった時大変やったんちゃいます、こない口の悪いやんちゃな人の面倒見るん。」
「あはは、まーね。」
「茂庭さんっ、そこはフォローしてくださいよっ。」
「難易度が高い話だな。」
「青根はボソッと腹立つ事言うんじゃねぇっ。」

ああくっそうと唸る二口、一方青根高伸は美沙以上に表情の変わらない顔で呟く。

「よかった。」
「ありがとうございます、青根さん。」
「日向翔陽は元気か。」
「相変わらずビョンビョン跳ねとります。それはええけどマネの子がおらん時に私に妙な用事を持ち込むんだけはホンマ堪忍してほしいです。」
「妙な用事とは。」
「先輩のメモが解読でけへんから読んでくれとかどっか偵察行くからついてきてくれとか。」
「美沙さんに偵察の付き添い頼むのかい、それは大胆だな。」
「それをあのべったり兄貴が許すのかよ。」
「しばらく前にそんなんがあった時、最終的に兄さんは行かすんやなかったって。」
「何があったのか知らないけどそりゃ縁下君じゃなくても言うだろうなぁ。」

また茂庭はため息をつき、しかし微笑んだ。

「話は戻ってなんにせよ良かった。でもこれからも縁下君に心配かけないようにね、美沙さんは天然だから俺も心配になる。」
「ふぎゃあああっ、茂庭さんにまで言われたー。」
「ざまぁ、半分ボケざまぁ。」
「あっ、またこの人はっ。」
「喧嘩は良くない。」
「持ち上げるのはやめたってーっ。」

余談だが白鳥沢の連中とこの伊達工の連中とあった事について美沙は後から義兄の力にまた半分ボケを発揮してと叱られることになる。