第34章 【その後の対外報告】
「ご存知でしたか、えと」
「白布賢二郎。」
「よろしゅう。」
「クラスの奴が喋ってたの聞いただけだけどな。」
「そうでしたか。私は違うてずっと言うてたんですけど残念ながら事実やったようで。」
「あのさ、」
ここで2年の川西太一が口を挟む。
「それって堂々と言うことか。」
「私が悪いことしたんちゃうんで。」
反応に困った川西が天童に目をやるが
「太一、ままコちゃんはこーゆー子よ。」
天童はあははと笑うだけである。
「その実の父とは結局どうなった。」
更に牛島が空気を読まずに尋ねるので美沙は先日起こったことをかいつまんで話す。やはり固まる白鳥沢の連中については意に介さない。
「そうか。」
牛島は息をついた。
「離れずに済んで良かったな。」
「おかげさまで。」
「若利は随分面白い知り合いがいるんだな。」
リベロの山形隼人が呟く。
「私は別に、その辺におるごく普通の動画投稿者です。」
「そう名乗る時点で普通ではなかろう。」
「若利が突っ込んだっ。」
瀬見が驚く一方で五色がそうだっと声を上げる。
「お前っ、どんな動画作ってんだ。」
「お、工ちゃんと覚えてたねー。」
「描いてみた動画。下手やけど、こんなん。」
「すげー、何か走ってる。」
「絵は4枚くらいしか描いてへんよ、せやからカクカク。」
「何かよくわかんねーけど動いてるってだけですげー。」
スマホの画面を見ながらわいわいやり始める美沙と五色、瀬見が牛島をちらりと見る。
「お前、あんな濃ゆいの相手してたのか。」
「奇妙だが悪人ではない。兄共々依存が過ぎるのは気になるが。」
「あんなの追っかける及川もどうかと思う。」
「ギャップが見ていて飽きないらしいが俺にはわからん。」
「そのくせ気には留めるんだな。でもそれなら名前覚えてやれよ。」
一瞬沈黙する牛島に瀬見は黙るなよっと突っ込んだ。
ここまで来たのだ、彼らも忘れてはいけないだろう。
「おい、今なんつった半分ボケ。」
とある道端、伊達工業の二口堅治が言う。
「二口、言い方っ。」
茂庭要が慌てるが言われた縁下美沙はしれっとしている。