第34章 【その後の対外報告】
更に後日、美沙の方がやらかしていた。パソコン部が終わってから1人で少しウロウロしていた時のことである。
「あ、ウシワカさん。お久しぶりです。」
白鳥沢のバレー部ご一行である。美沙を直接見るのが初めての瀬見、白布、山形、川西もいる。
「お前か。」
牛島が呟いた。しばしの沈黙に五色が突っ込む。
「牛島さん、名前忘れてますね。」
「もう慣れたからええけど。縁下美沙です。兄は力です。」
「ままコちゃーん、ひっさしぶりー。」
天童がブンブンと手を振り、後ろにいたセッターの瀬見英太が誰だと呟く。
「例の烏野の、控え選手の妹のようですね。」
白布が答えると瀬見はああと手をぽんと叩く。
「及川にも気に入られて追っかけ回されてるっていう噂の。」
「誰やーっ、そんな余計な情報流したんはっ。」
「俺ではない。」
美沙にじろりと見られた牛島が言う。
「ほな」
ここで五色が目をそらしたので美沙は珍しく自分からずずいと近づいて五色を見つめた。
「五色君、どーゆーことなん。」
「俺は単にどんな奴か聞かれたから答えただけだっ。」
「ここのチームはあれか、才能とネタ両方の天然が固まってはるんか。」
「何だと、電脳っ。」
「言うたな、脳筋っ。」
「白布、あれ何だ。」
「聞かないでください瀬見さん、俺が知る訳ないでしょう。」
「ほら工、やめなさいって。」
大平に首根っこを掴まれて五色は大人しくなる。
「ととととにかく及川さんは何でか知らんけどウロチョロしてはるだけやからっ、私何もしてへんからっ。」
「それでお前は」
全く状況を読まずに牛島が言う。
「その後大事はないか。」
「物理的には特に。」
「他にはあったのか。」
「実の父が見つかりました。」
たちまちのうちに牛島以外の白鳥沢のメンバーが固まるが半分ボケと天然ボケはそのまま話を続ける。
「亡くなったのではなかったのか。」
「そう聞かされとったんですけどどうも諸々の事情でばあちゃんも縁下のお父さんお母さんも隠してたみたいで。」
「捨て子の薬丸。」
ついうっかりボソリと呟いてしまった白布を美沙はバッと振り返る。