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【ハイキュー】エンノシタイモウト第三部

第4章 【まるでサイボーグ】


「知りませんよ、どうなっても。」

月島は呟いた。

「2人してそんなに後で辛い目に遭いたいんですか。」
「そこまで言ってくれるなんて本当に嬉しいよ、月島。でもどうなるかなんてわからない。例え後で駄目だったとしてもせめて今だけは夢見させてくれないか。」

切なそうに言う力に月島はそれ以上何も言わなかった。

そして別の日、1年フロアの廊下での出来事だ。縁下美沙がノソノソと歩いていると月島山口コンビに出くわした。

「来たよ、サイボーグ。」
「いきなり何なん月島、人をどっかの漫画みたいに。私は生身やしバイオリンケースにアサルトライフル入れたり、化粧バッグにサブマシンガン入れて持ち歩いたりせえへんけど。」

美沙は振られたネタに対して直感的に返事をした。こまごましたことを覚えてきっかけがあれば条件反射的にネタとして思い浮かぶこの性質はやはり薬丸の頃からであり、やたら何でも覚えてて不気味と言われたこともある。
そんな美沙に月島がへえ、と挑発的な笑みを浮かべたので美沙は自分の返しがどうやら月島の意図と合致したらしいと感じた。

「でも完全に縁下さんに付き従ってんじゃん。そんで例えばだけどさ、もし縁下さんに持ち歩けって言われたら何にすんの。」
「兄さんがそんなアホな事言う訳ないやろ。」

美沙は打ち合わせもしていないのに話がすんなり進んでいる様子に動揺する山口をチラと見て、しかし次の瞬間には月島に目を合わせて即答した。

「ベレッタcx4(シーバイフォー)、ただバイオリンケースに入るサイズかどうかは知らんし弾薬は拳銃用やしフルオート射撃がでけへんはずやからあの漫画的な用途で使う場合に向くかどうかも知らん。これでええか。」

月島は固まった。レアな光景だ。流石に具体的な名前や一部仕様まで出てくるとは思わなかったのか。無理もないわな、と美沙は思った。おそらく日本で女子は知っていることが少ないであろう分野だ。美沙は漫画の読みすぎとそれによる興味でうっかり調べてしまった結果こうなっているが。
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