第4章 【まるでサイボーグ】
月島蛍が先輩である縁下力に義妹が出来てから兄の妹への態度や妹の兄への態度に難色を示している事は男子排球部の間では周知のことだ。その月島はとうとうとんでもないことを言い出した。
「縁下さん、貴方の妹はサイボーグですか。」
「ええっ。」
「ちょちょちょ、ツッキー、何言ってんのっ。」
とある部活の日、月島からいきなり言われて縁下力と月島の友である山口忠は大変に慌てた。
「どっかの漫画にあるんですよね、訳ありの女の子らが表向きは福祉施設の組織で対テロとか暗殺の戦闘用サイボーグに改造されてしかも薬で洗脳されて武器振り回すの平気で組織や担当してる人間には刃向わないようにされてるっていう。」
「その漫画は知ってるよ、美沙も持ってる。でもそれとうちの美沙とどう関係が。」
「あの漫画の改造された子達って担当してる人を盲愛してたりするんですけど、ままコさんはそれっぽいなあって。」
「ツッキー、よしなよ、失礼だって。」
力はああそういうことかと苦笑した。
「また随分な言われようだな。」
「あれだけ貴方にくっついてばかりじゃそう思いますよ。」
「心配かけてるんだな、いつもごめんよ。」
力は穏やかに言い、月島は言葉に詰まる。
「でも大丈夫だよ、いくらなんでも冗談は通じるし、あり得ないけどもし俺が死ねって言ってもあいつ絶対嫌だって言うから。」
「実際どうなんだかわかんないでしょ。」
「勘弁してくれよ、月島。」
力は笑って言った。
「死にたくないからうちに来たっていう子に死なれたらたまったもんじゃないよ。」
「だからってそんなに入れ込んでどうするんです。」
「うん、でも」
力は言った。
「どうしても美沙が良かったんだよな。」
ボソリと呟く力の言葉に月島は何か気付いたようだった。あまり表情を変えない彼がみるみるうちにドン引きした顔になる。
「ツッキー、どうしたの。」
流石にわからなかったらしい山口が尋ねるが月島は直接そっちには答えなかった。