第32章 【義兄妹、事後報告】
「あ、モノホンのニャンコのとかワンコのは嫌やで。」
「そんな事言ったから今度鈴付きの買ってくる。」
「無理やもんね、きっと入らへんもんね。」
美沙はドヤ顔をしているが力は逆にニヤリと笑った。
「悪いけどお前の首ね、ちょっとおっきいワンコ用なら余裕だよきっと。」
「う、うそや。」
「ホンマです。さて、何色がいいかな。」
「発言がかなり危ない件。」
「大体がお前のせいだよ。」
「な、成田先輩と菅原先輩に言いつけたる。」
「俺を脅そうなんて度胸ついてきたね、美沙。」
「及川さんとこ行ってまうから。」
「ああそうだ、スカーフにしよう。でもうちの制服はリボンだしな。」
「話聞いたってっ。」
「家にいる時はスカーフでいいか。何か見繕ってくるね。」
「あの、力さん。」
「及川さんとこね、行けるもんなら行ってごらん。それこそ好き放題にセクハラされて下手すりゃ着せ替え人形にされるかもな。」
「ふぎゃああああ、ドSがおるー。」
無駄な抵抗をする美沙、力からすれば可愛くて仕方ない。だからこそとどめを刺した。
「うん、だからお前は俺の側にいておくれよ。他の子だと受け入れてくれないかもしれないから。」
美沙が顔を真っ赤にしてあうあうしだす。
「ずっこいっ。」
「そうだな。」
力は微笑んだ。
「俺は悪い奴だよ、お前を独り占めしておきたいから。」
「力さん」
美沙が呟く。
「大人になったら父さんと母さんと、薬丸のおばあさんとこにも報告しような。」
「うん。」
どうしようもなく依存した義兄妹はやはりお互い抱きしめあい離れない。激動の日の夜は静かに過ぎていった。
次章に続く