第30章 【義妹、意志決定】
何かされるんやろか。思わず美沙は身構える。と、その時
「美沙っ。」
聞きなれた穏やかなしかし今は切羽詰まった様子の声が聞こえた。他にも複数バタバタとした足音や声が聞こえる。
「美沙すぁぁぁぁんっ。」
「仁花ちゃん落ち着いて、足元危ない。」
「おい誰だあのおっさんっ。」
「うぉい縁下妹っ、無事かーっ。」
「美沙ーっ、誘拐されてねーかぁっ。」
「されてねーからままコがまだいるんだろこのボゲェッ。」
「影山、冷静に突っ込んでる場合じゃないよっ。」
「王様のは冷静じゃなくてただの脊椎反射だから。」
「お前らこんな時にまで喧嘩の種やめろっ。」
「だだだだだ大丈夫かっ、美沙ちゃんっ。」
「お前がビビってどうする旭っ。縁下待てっ、1人で突っ走るなっ。」
「木下。」
「おうよ。」
「大地さん、俺ら先に縁下と行きます。」
「頼むぞ。」
「兄さんっ、みんなっ。」
振り返って美沙は声を上げる。
縁下力と烏野高校男子排球部のメンバーが参上した。
次章に続く