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【ハイキュー】エンノシタイモウト第三部

第29章 【義妹、情報収集】


「その、良かったね、先輩の娘さんが無事で。」
「ありがとう、仁花。でも私おしゃべりが過ぎたかしら。」
「大丈夫だよ。」

珍しくやや弱気な母に娘は自信を持って言った。

「お母さんも言ってたでしょ、縁下さんも縁下さんのご両親もいるもん。それに美沙さん何気に強いんだよ、きっと明日学校で会ったらまたしれっと面白いこと言ってるよ。」

谷地円は微笑んだ。

「そう、本当にそっくりなのね。ところで気になってたんだけど。」
「どうしたの。」
「縁下君ってお兄ちゃんとはいえ随分と美沙さんを気にかけてるのね。まさか一緒についてくるなんて。」
「あはは、美沙さんが妹になってから縁下さん凄く大事にしてるんだ。あまりに世話焼いてるからバレー部の皆が面白がって弄ったりもしてる。」

そ、そぉと谷地円は呟いた。

「大事にするのはいいけど、」
「どうしたの。」
「縁下君は妹が出来たんじゃなくてお嫁さんをもらったなんて思ってないかしら。」
「え、いやまさか。」

仁花は笑うが内心、だいたい合ってるかもと冷や汗をかいていた。

夕暮れの道を顔は似ていない兄妹が歩く。

「何となく予感はしていたけど改めて聞くとやっぱりショックきついな。」

力が呟く。美沙はうんと頷き

「さんざん捨て子呼ばわりされてたんがホンマの事やったもんね。」

ふぅと息をつく。

「お父さんは途中でお母さんの事が嫌いになったんやろか。」
「どうだろうな。うまく覚悟決められない所にお前が出来たからつい逃げちゃったって可能性はあるかも。」
「うん。」
「俺も同じ立場だったらひょっとしたら。」
「せやね。」

15歳と16歳にはなかなか重い話である。

「美沙はその、どうなんだ。」
「何が。」
「本当のお父さんに対して。」

美沙はうーんと唸った。

「もう聞きたい事はだいたい聞けたから別に。万一遭遇したとして今は捨てられたおかげで苦労したとか何とかいちいち言う気もおきへん、めんどい。」
「めんどいって言い回しはやめな。」
「う、兄さんがばあちゃんとおんなじ事言いよう。」
「お前のおかげで俺も学習したからな。それはともかくお前らしいな。」
「だってもうええもん。」
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