第28章 【義妹、行動開始】
そんな一瞬のほのぼのな時間はさておき次の日の事だ。
「やっちゃん、お願いがあんねん。」
美沙は意を決して親友に言った。谷地仁花はただならぬ気配を感じたのかビクッとしながらどどどどうしたのと尋ねてくる。
「やっちゃんのお母さんとお話したいねん、どうしても。都合つくやろか。」
谷地は目を丸くした。それでもこう言ってくれた。
「お母さん仕事で外が多いから聞いてみるね。」
「ありがとう、頼むわ。あ、何でって聞かれるやろから聞きたいことがあるんやてって言うてくれたらええわ。納得しはれへんかったらメッセ頂戴(ちょうだい)、電話さしてもらうわ。あと、お会いする時は兄さん付きかもしれんけど。」
いつになくしっかりと言う美沙を谷地はますます目を丸くして見つめる。
後に谷地が語った所によればこの時の美沙は日向が時折見せる威圧感に似た雰囲気を持っていたという。
次章に続く