第28章 【義妹、行動開始】
「お前には感心するよ。」
「何で。」
「俺、どうしようどうしようばっかり思っててそこまで考えられてなかったから。」
「兄さんいっつも冷静やのに、珍しねぇ。」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど。」
力は呟き美沙の頭を撫でる。
「どうもお前の事になるとつい、な。」
「兄さん。」
「出来たら俺もついていくよ。俺も知りたい。」
「うん。」
頷く義妹は自分から力にしがみついた。
「兄さん、大好き。」
「知ってるよ。」
「もっぺん言うとくの。」
「つくづくお前はツンデレだな。」
「ツンもデレもないもん。」
「本当は甘えたの寂しがりの癖によっぽどじゃなきゃ外に出さないだろ。いい加減認めな。」
「兄さんの意地悪。」
スリスリグリグリしながらも膨れる美沙に力は弄りたい衝動が抑えられなかった。
「赤葦君にこないだの兄シャツ姿送るか。」
「新しい脅し来たっ。」
「最近あまり連絡取ってないし。」
「あかんー、嫌やー、やめてー。」
「むしろ他に何が似合いそうか意見を聞くかな。」
「そ、そんなんは平気やもんね、兄さんが病院行け言われるんがオチやもん。」
「あ、返事来た。」
「ちょおっ何ガチでやりとりしとんのっ。」
「うーん、ゴスロリか。価格的な意味でも入手困難だな。」
「手に入りやすいんやったらさせる気なんっ、赤葦さんも何乗っとんのっ。」
「なら猫耳ってきた。」
「だが断る。」
「現実的な所で制服でミニスカだってさ。」
「赤葦さんは疲れてはるん、主将さんに振り回されてるとかで。」
「それはあるかも。で、ハンドルネームままコをネタにストレス解消。」
「ひどすぐる件っ。とりあえずスカート短くするんも絶対嫌やっ。」
「お前の場合はちょい長すぎる気もするけどな。」
力はクスクス笑いながらちらっと制服のスカートをミニ丈にした美沙を想像する。うっかりいいかもしれないと思った。しかし
「あ、やっぱり外でミニスカは駄目。」
「せやろ、私が足晒したら世間様の迷惑になるで。」
「そっちじゃないよ、言うと思ったけど。」
言う力は無表情だ。美沙は知らない、この時力の脳裏には及川の顔が浮かんでいたことを。