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【ハイキュー】エンノシタイモウト第三部

第28章 【義妹、行動開始】


早速棚から引っ張りだしたのは亡くなった祖母から引き継いだ分だ。2,3冊ほど出してパラパラとめくった。
しかし程なく祖母の徹底ぶりを見せつけられる。
めくるページめくるページどれもが自分に顔がそっくりの実母、その両親である祖父母、後は残念ながら縁の切れた母方の親戚陣が写っているものばかりだ。余程実父については残しておきたくなかったのだろうか、徹底的な所は自分に受け継がれているかもしれないと美沙は思う。だがまだわからない、次のアルバムに移ってまたページをめくっていく。

ひょっとしたら動画作っている時と同等かもしれない集中力だった。祖母は本当にこれでもかの勢いで痕跡を残していない模様だがほんの僅かな手がかりみたいなみたいなものが、消しきれていない何かがないか美沙は目を凝らす。やがてまた別のアルバムに移り、終わりの方のページまで来た時だ。やはり何の手がかりも出てこないと美沙は何の気なしにそのまま次のページに行きかけた。が、急に何かを感じてすぐに前のページに戻った。そこに貼られていた3枚ほどの写真を見直す。学生の頃だろうか、ひょっとしたら10代かもしれない実母と一緒に別の女性が写っている。

「やっちゃん。」

美沙は疑問形で呟いてすぐにいやちゃうわと思い直した。しかし実母と一緒にそれらに写る女性は自分のよく知る親友を思い起こさせる顔だった。もしかしてと考えた美沙は1つ決めた。

おかげでというべきか縁下力は夜遅く帰宅してから義妹より大きな決意を聞かされた。

「本気なのか。」

自室のベッドにちょこんと座る義妹に力は思わず尋ねる。当の義妹は大きくうなずき、髪のリボンが揺れる。

「もう嫌やねん、いつまでもよくわからんままプルプルして過ごすん。」

しっかりと自分に目を合わせて言う美沙に力はドキリとした。自分が決めた事に真っ直ぐなその視線はいつも力の心を撃ちぬいてくる。初めて顔を合わせたあの日、死にたくないから縁下になることを決めたと言われた時を思い出させた。

「そっか。」

力は義妹を抱き寄せた。この相変わらず細っこく軽い体のどこにそんな真っ直ぐな強さが入っているのだろうと思う。
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