第27章 【外伝 成田一仁の感慨】
「その後があっという間だったよな。」
ここで成田は回想を打ち切って言った。
「美沙さんがお前馬鹿にした奴に怒って怪我してそっから急速に仲良くなって今じゃほぼ嫁にまでなったもんな。」
「やめろって。」
「お前が他の女子に興味があるなら話は別だけど。」
ニッと成田が笑うと力はムスっとする。成田は怒るなよと力の背を軽く叩き言った。
「いなくなったらどうしようって心配はわかるよ。俺らだって万一あの子がいなくなったら困る、お前の生きる気力がなくなりそうだからな。」
「成田。」
「最近美沙さん帰りは基本パソコン部の連中と一緒だから早々のことはないと思うし向こうだって自分がまずくなるから過激な事はしないと思いたいけど俺も気をつけとくよ。あの子たまに1人でフラフラする時あるんだろ。そうだ木下達にも声かけとこう、美沙さんが1人だったら声かけるように。」
「ああ、助かる。」
落ち着いたように微笑んだ力を見て成田は本当にあの子が大事になったんだなと改めてしみじみとする。
だったらと思った。俺らで何とかなるもんじゃないかもしれないけど、少しくらいは縁下の力にならないとな。
次章に続く