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【ハイキュー】エンノシタイモウト第三部

第25章 【不穏な影】


当の力はそんな話をされてるとは露知らずわいわいやっている奴らと話をしており、美沙はパソコン部で作った動画にリテイクを食らってふぎゃあああと叫んでいた。

知らないビルの知らない部屋、誰かが報告を受けている。向こうは最近部活仲間と下校しているそうでなくても兄妹そろっているので隙がない、酔狂も程々にされた方がよいのではとついでに忠告も受けている。言われた相手は頷きもう少し頼むと言った。頼まれた方は了承したもののこっそりとため息をついて、後2週間で打ち切りますと言った。相手は了承した。

さて、生徒達は比較的呑気ではあったが親はそうではない。学校で不審者注意の話が上がったと聞いた途端に多くは自分達の息子娘に必要以上に夜にウロウロするな遅くなる時は連絡しろだのなんだのと注意をしていた。

例えば谷地クリエイト代表は出かける前に娘へこう言っていた。

「マネージャー始めてこれからも遅くなるだろうけど油断しないで、後私はこれからまた打ち合わせだけど戸締りはしっかりね。宅配は今日来ないわ、あとよくわかんないのにうかうか開けるんじゃないわよ。」
「うん。」
「そういえば仁花、」
「何。」
「最近編入してきたっていうアンタの友達、エンなんだっけ、あの関西弁の」

実を言うと谷地クリエイト代表はいつだったか娘の危ない所を助けてくれたというその友人と顔を合わせている。故に母は危うくあの関西弁の天然ボケな子と言いかけて飲み込んだことを娘は知らない。

「ああ、縁下美沙さんだよ。」
「あの子って身寄りがなくなって今のお家に引き取られたのよね、前は何て名前って。」
「薬丸って言ってた。」

でもどうしてと娘は言いかけるが母はそうと返事をしたきり聞いていない。1人薬丸、と呟いている。

「先輩。」

谷地仁花にはそれが聞こえた。しかし珍しく思い詰めたように見える母の表情に尋ねる事が出来なかった。

そしてこちらは縁下家である。
縁下美沙、旧姓薬丸は戸惑っていた。パソコン部の活動が終わってから全校集会での話と概要が書かれたプリントを持ち帰ると義母から親らしく本屋に寄りたい気持ちはわかるけどなるべく1人で遅くにウロウロしないようにと注意された。それはいい。問題はその後で義母に抱っこされてしまった事だ。
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