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【ハイキュー】エンノシタイモウト第三部

第25章 【不穏な影】


それは少しずつ近づいていた。

烏野の男子排球部でコーチをしている坂ノ下商店の烏養繋心が言うにはこの所店に来る馴染みの客や烏野の生徒達から最近見慣れない車を見かけるといった話を聞くそうだ。

「こっちもそんな話が上がってまして。」

排球部の顧問である武田が言った。

「帰りは注意するようにって全校集会で話をしたところです。幸い今の所事件は発生していないようですけど、このご時世ですし。」
「ああ、そうだな。」

休憩している男子排球部の面々に目をやりながら烏養は呟く。ふと日向と笑いながら話している縁下力に目を留めた。大丈夫かと烏養は思う。美沙という義妹が出来てから自分が思わず突っ込んでしまうほど縁下力は彼女が絡むと言動がおかしくなる。兄妹がお互い依存しているのは明らかで烏養としては心配だ。大丈夫だと思いたいがもしあの半分ボケに何かあったら、烏養は思った。縁下の奴壊れるんじゃねえか。

「今は大丈夫だと信じましょう。」

何となく察したのか武田が言った。

「注意を怠ってはいけませんが、信じていなければ逆に恐れている事が現実になりそうな気がします。」
「そう、だな。」

烏養はポツリと呟きもう一度縁下力に目をやる。力の義妹に対する態度は16歳が15歳にするには過保護だとは思うが少し不穏な感じがする今なら仕方ないのかもしれない。

「それよりよ先生。」
「何でしょう。」
「俺ぁ近い将来縁下兄妹からとんでもな通知受け取りそうな予感がするんだが。」

ブルルっと身震いする烏養に武田は一瞬キョトンとしたがすぐに気がついたらしくアハハと笑った。

「烏養君ともあろう人が何を。」
「笑い事かっ、あいつらガチであぶねーぞっ。」
「まあまあ、落ち着いてください。まだまだ彼らは若いんですから先はわかりませんし、仮にそういう方向になったとしてあの2人の事ですから大人になってから慎重に考えますよ。」
「そういう方向が確定したらどうすんだ。」
「その時は僕らが口出せないかもしれませんねえ。」
「ちっ、呑気なもんだぜ。」
「今は不確定ですから。僕としては烏養君が生徒のそんな事を気にしている事に驚きます。」

笑う武田に烏養はケッと呟く。

「まさかの縁下が俺でもわかるシスコンになったんだぞ、気にもなるわ。」

武田は苦笑するしかなかった。
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