第24章 【ラーメン食べたい】
そうして2人は近くの店で早速ラーメンをすすっていた。静かに食べていた2人だが何となく美沙が嬉しそうにしている気がすると力は思う。
「嬉しそうだね、美沙。」
言うと美沙はうん、と言った。
「おいしい。」
多分本人に自覚はないのだろうが顔が笑っている。何よりなことだ。嬉しそうに食べる姿は見ている方も和む。そんな義妹の横顔をつい凝視してしまった事に気づいて力は慌てて目を逸らした。
しばらくしてである。
「あれっ。」
後ろから嫌でも聞き覚えがあるノリの軽い声がした。
「美沙ちゃん、と縁下君っ。」
面倒くさい人が来ちゃったなと思いつつ力は振り向く。思った通りそこには及川徹と岩泉一がいた。
「よう、べったり兄妹。」
「ああ、どうもこんばんは。」
岩泉にべったり兄妹などと言われたのは聞こえなかった振りをして挨拶をしながら力は食べるのに夢中な美沙の肩を叩く。気づいた美沙も食していたものを飲み込んでこんばんはと挨拶をした。そこへ早速及川が食いつく。
「ちょっとちょっと何なのどうしたの、何兄妹揃って仲良く食べてんのさっ。」
「クソ川、うるせー。」
「今日は親が夜遅くて、夕飯作るのもしんどかったので。」
「ほぉ、いつもなら自分で作ってんのか。」
「主にうちの美沙ですけど。」
岩泉は一瞬固まり美沙をちらっと見る。
「あ、あの、お気持ちはわかるんですがやめてやってください。美沙も膨れっ面しない、失礼だよ。」
「はーい。」
「俺は美沙ちゃん作ってくれるなら喜んで食べるよっ。」
「とりあえずおめーは黙れっ、話がややこしくなるわっ。」
岩泉が一喝して及川はちぇーっと膨れる。結局幼馴染コンビはカウンター席に座っている縁下兄妹の横に来たのだった。