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【ハイキュー】エンノシタイモウト第三部

第23章 【外伝 村人B、衝撃の回想】


そこから谷地はいっきに縁下美沙から色々と聞いた。肩から提げているのはガジェットケースでスマホに変えた時に亡くなった祖母が作ってくれたものであること、腕時計は縁下家に入ってから義母にもらったものであること、スマホゲームで人気のキノコのキャラが好きであること、バレーボールの事はよくわからないけど義兄の力がいつも嬉しそうに語っていることなどなど本当に色々と聞いた。やはり表情の起伏は少なめだったが、声から感じる感情がそれを補っていた。

「やっちゃん、どないしたん。」

美沙に言われて谷地はハッとした。

「あ、ううん、ちょっとね。」
「大丈夫、具合悪いんやったら無理せん方が。」
「大丈夫だよ、ありがとう。」

つい回想にふけってぼうっとしてしまった谷地はあははと照れ笑いをする。あの時標準語で表情が固かった編入生はすっかり本来の関西弁で自分をやっちゃんと呼んでくれるくらいに仲良くなった。それどころか一度は体を張ってまで助けてくれた。クラスの連中だって馴染みきっていない頃は触らぬ神に祟りなしといった様子だったが、その個性の強さがわかっていくうちに順応してまぁ縁下だしと受け止めている事も多い。美沙絡みで妙なことが起きるとまた縁下か、となるのは現在の1-5の定番にすらなった。

何だか不思議だなと谷地は思う。自分はずっと村人Bでこのまま特に何が起きる訳でもなく漫然と日常を過ごしていくのだと思っていた。そこへ清水に誘われ男子排球部に望まれてマネージャーになり、次に衝撃的な経歴と癖の強い性格を持つしかし自分を大事だと思ってくれる友人が出来た。
たまに美沙が人生何があるかわからんわねぇ、と言う事があるけれど本当にそうだなと谷地は思う。

そんな美沙は隣の席でスマホの画面を見てふぎゃああっと小さく椅子から飛び上がっており、どうやらその義兄からお叱りかとんでもリクエストのどちらかを受け取ったようだった。

次章に続く
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