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【ハイキュー】エンノシタイモウト第三部

第23章 【外伝 村人B、衝撃の回想】


そして休み時間である。いいのか悪いのか1-5の多くは編入生に積極的な交流をしてこなかった。一部から漏れ聞いたところによればその当時中途半端な時期に来た事と表情の固さが冷血そうに見えて近寄りがたかったらしい。しかし谷地は先の不思議なやり取りにより、ほんの少し勇気を持ってこの編入生に話しかける事にした。

「あのぉ」

恐る恐る声をかけてみる。編入生は黙ってこっちを向いて小首を傾げる。谷地はハッ今の何か可愛いかもっと1人テンションが上がった。

「えと、さっきはごめんね。」

編入生はへ、と呟く。

「何が。」

表情は変わらない。しかし声が明らかにキョトンとしていた。

「あーあのっそのっ、私何か変な事言っちゃって。」
「別に。」

言葉少なに編入生は答える。

「何も考えてなかった。」

天然という言葉が谷地の脳裏をかすめた。

「えと」
「うん。」

返事されながらも谷地は一生懸命に話題を考える。何かお話しなきゃ何か。

「こ、こんな時期に編入って珍しいね。」

言ってから谷地はしまったあああやっちゃったああいきなり立ち入ったこと聞いちゃったああああと激しく後悔する。

「ああ、そうだな。」

だが編入生は淡々と答えた。

「前の学校入ってあんま経たない内に育ててくれたばあちゃんが亡くなってそこから烏野に引っ越してきたから。」

さらりと語られた重たい事情の一部に谷地はなんてことっと衝撃を受け、一方でどうしても気になっていたことを聞いてみようと思う。失礼かもしれないけどこの様子ならこの人普通に教えてくれるかも。

「そ、そうなんだ。それで、あ、あのね」
「うん。」
「私、実は男子バレー部でマネージャーやってて、あ、途中入部で最近のことなんだけど。」
「うん。」
「その、バレー部の2年で縁下力さんって人がいるんだけど、もしかして苗字一緒だし、知り合い、とか。」

わわわ、私の馬鹿知り合いとかって言葉にごしちゃって何でこんなヘタレなのぉと谷地はまた1人パニックを起こす。そして編入生は急に大きな反応を示した。元々あまり合わせている様子がない視線をあからさまに逸らしたのである。谷地はどうしようさすがに立ち入りすぎたんだ、わあああああと泣きそうな状態に陥った。編入生の方はしばし視線を逸らしたまま俯き、急に肩からさげているポーチの様なものからスマホを取り出した。
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