第6章 手を伸ばして2*グリムジョー
「え?ちょっと、グリムジョー!?」
「黙れ」
(理不尽っ!)
グリムジョーが何を考えているのか、皆目検討がつかない。
黙れと言われたので会話は一切なく、私はノコノコとグリムジョーの部屋までついて来た。
「な、何…?」
手を離して私の方を振り返り、呆れた口調で愚痴を言う。
「ったく…どいつもこいつも…人の噂立てまくりやがって…」
「噂って…嘘?なんだよね?」
思い切って尋ねてみると、グリムジョーは舌打ちをしてボスンとベットに沈む。
頭の後ろに腕を回して、鬱陶しそうに顔を歪めて掠れた声を出した。
「嵌められたんだよ。」
「ハメられた!?」
「違ぇバカ。俺があいつの罠にまんまと引っかかった。」
悔しそうに口角は下がり、眉間の皺が濃くなる。
プライドの高い彼のことだ。
相当な屈辱を味わっているのだと私は感じた。
「でも、罠って言っても、グリムジョーの被害は噂だけでしょ?」
「テメェの頭はお花畑か。その噂が目的なんだよ奴は。」
「というと?」
「自分で考えらんねぇのかお前は。」
(無理でしょ分からないでしょ。分からないことを分かって下さい。)
口に出して文句を言う勇気はないので目で訴えると、グリムジョーは溜息をつきながら案外サラッと答えてくれた。