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【短編集】ILY【R18】

第6章 手を伸ばして2*グリムジョー


「え?ちょっと、グリムジョー!?」

「黙れ」

(理不尽っ!)

グリムジョーが何を考えているのか、皆目検討がつかない。
黙れと言われたので会話は一切なく、私はノコノコとグリムジョーの部屋までついて来た。

「な、何…?」

手を離して私の方を振り返り、呆れた口調で愚痴を言う。

「ったく…どいつもこいつも…人の噂立てまくりやがって…」

「噂って…嘘?なんだよね?」

思い切って尋ねてみると、グリムジョーは舌打ちをしてボスンとベットに沈む。
頭の後ろに腕を回して、鬱陶しそうに顔を歪めて掠れた声を出した。

「嵌められたんだよ。」

「ハメられた!?」

「違ぇバカ。俺があいつの罠にまんまと引っかかった。」

悔しそうに口角は下がり、眉間の皺が濃くなる。
プライドの高い彼のことだ。
相当な屈辱を味わっているのだと私は感じた。

「でも、罠って言っても、グリムジョーの被害は噂だけでしょ?」

「テメェの頭はお花畑か。その噂が目的なんだよ奴は。」

「というと?」

「自分で考えらんねぇのかお前は。」

(無理でしょ分からないでしょ。分からないことを分かって下さい。)

口に出して文句を言う勇気はないので目で訴えると、グリムジョーは溜息をつきながら案外サラッと答えてくれた。
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