第6章 手を伸ばして2*グリムジョー
「………だから何だ。」
「え…っ!!」
威圧感が増した瞳を見開いたと思えば、私は首を掴まれて地面に叩きつけられていた。
「ぅっ…は、なし…」
「テメーに信頼された所で俺に利益は無ぇ…それによォ、俺の何を知ってンな口聞いてんだ?ア゛ぁ゛!?」
…怖い。
とてつもなく恐ろしい。
私を覗き込む目は本気で殺りそうな狂気を含んでいる。
「っ!!」
私は必死に優しいグリムジョーを思い浮かべた。
首を圧迫する手を退かそうと藻掻くと、弾かれたようにハッとしたグリムジョーが私から手を引いた。
「カハッ!うぐ、うっ…ゲホッ」
酸欠状態で苦しい中、頭を垂れるグリムジョーの姿が滲む視界に映る。
膝が笑って立ち上がれず、もたつく私に手が差し出される。
「…掴まれ」
「あ、ありがとう…」
温かな手にグイッと引っ張り上げられ、そのまま引かれて歩き出す。