第6章 手を伸ばして2*グリムジョー
微かな霊圧を頼りにグリムジョーを探している最中、あちこちであの噂を耳にした。
(こんなに広がってるんだ…きっと、居ずらくて隠れてたりするよね…。)
普段の行いが凶へ転じてしまったに違いない。誰もグリムジョーを庇おうとしていないから。
それに皆あの美女の見方のように見えた。
実際私も噂を信じてしまった人だし。
グリムジョーは孤独な思いをしているはず。
「あ…グリムジョー!」
この前グリムジョーを見つけた場所で、彼は同じく仰向けで寝転がっていた。
だけど私が声をかけても、彼は振り返らない。
「ねぇ、グリムジョー…」
「…」
瞼は閉じられていて、一向に私の方を見ない。
「…私は、嘘だと思ってる…」
どうすればいいのか分からないが、もう正面突破しかないと思って言い切った。
最初こそ私も噂に踊らされたが、よくよく考えればグリムジョーはそんなことしない。
女に構うぐらいなら鍛錬したり、虚を意味不明な暴力で殺したりする人だから。
あまり良いとは言えないけど…。