第6章 手を伸ばして2*グリムジョー
真っ赤な顔の私をからかう友達はやけに生き生きしていた。
バンバン私の背中を叩いて、奇声やら悲鳴やらを出しまくっていた。
…最後は喉が枯れて酔っ払いオジサンみたいになっていたけど。
(でも私…好きだからって何ができるんだろう…?)
付き合うなんて夢のまた夢。
格が違い過ぎる。
私の悩みは尽きることを知らず、悶々とした日々の中…とうとうあの噂が流れたのだ。
その時も、友達が噂を教えてくれた。
「グリムジョーが強姦だって…!」
「ええ!?」
それだけでも私は失神しそうだったのに、なんと相手はあの虚圏一の美女だと言う。
「それ、本当なの?」
「あくまで噂だからわかんないけど…」
グリムジョーだもん…本当だろうな…って私は思った。
「残念だけど、もう…あまり近付かない方がいいかもね…」
グリムジョーのことが好きだって、自覚したばかりなのに。
こんな恋の終わり方をするなんて…
友達が帰ると、私はベッドの上で彼の姿を思い出してみた。
どれも怖い顔して怒鳴ってばかりいる姿だけど、ちょっとした時に優しかった。
「…行こう」
何かを思った訳でもない。
不思議な衝撃が私の体を動かした。
グリムジョーに会わないと、って。