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【短編集】ILY【R18】

第2章 好きなのに*六道恭平


息が苦しくなる程強くれんと抱きしめ合って、いいムードになった時、ズボンのポケットに入れていた携帯が鳴った。

「出ないんですか?」

「…ち。」

折角の雰囲気を壊されて少々苛立ちながら携帯を取り出し、画面を見ると立川あゆの文字が。
それをれんに見られていたなんて全く気にせず、部屋から出ながら通話ボタンを押した。

『こんばんは。お話したパーティーの予定が決まったのでお伝えしようと思って。』

「ずいぶん早かったな。で、いつなんだ?」

『来週の日曜日の14時からよ。他の人も連れてきてくれたら嬉しいわ。』

(来週の日曜日か。丁度空いてる日だな…メンバーも誘うか。)

「わかった。」

『じゃあね。』

たったそれだけの短い会話で通話を切り、再びれんの部屋に戻ると、ベッドの端に座って俯いているれんが待っていた。
れんの心中で何を思っているのか知らない俺は、構わずその華奢な肩に手を伸ばした。

「あの、恭平さん…今日はもう疲れてますよね?部屋でゆっくり休んだらどうですか?」

「は?今日は待ちに待った夜なんだ。簡単に引き下がれねーな。」

「えと…歌詞書かなくちゃいけないので…。」

(妙に回りくどいな…こういう時は大体…)

「何かあったのか?」

顎を持ち上げてこちらを向かせる。すると案の定俺の目を見ようとしない。

「何もありません…。」
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