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【短編集】ILY【R18】

第6章 手を伸ばして2*グリムジョー


「はぁ?お前さっき『ありがとうございます』って言ってただろ。」

一度優しくされただけでまだ恐怖心がある私は、グリムジョーの物言いに怯む。

「そ、そう、ですね…はは…し、失礼し、ました…」

お礼を言うんじゃなかったのか私!
と心の中で声を荒らげるも逃げ足は速かった。
2メートル先の角を曲がればグリムジョーの視界から外れる。
私は一心不乱にその角を目指していた。
しかし、

「おい」

「はいぃ!!」

丁度曲がり角に差し掛かった所で、後ろから呼び止められる。
咄嗟に足を止め、振り向くと、青筋が浮き出たグリムジョーに睨まれていた。
ズボンのポッケに両手を突っ込み、尊大な出で立ちで私に「こっち来い」と言う。

「は、はい…」

正直、ここに足を運んだのは自分だが関わりたくない。
お礼を一言言うだけだったのに…お礼を言うどころか怯んで逃げたのだが。

「…テメェ、さっさと歩けねぇのか?」

ノッソリ歩く私にイラつき、グリムジョーは更に周りの空気を険悪にする。

「すみません!」

私は意を決して小走りでグリムジョーの元へ行き、俯いてビクビクしながら言葉を待った。

「さっきの資料、ザエルアポロのやつか。」

「はい…」

「…チッ…あの野郎…」

(え?え?私のせいでザエルアポロがとばっちり!?)

嫌だ!それだけは勘弁して下さい!
って言おうと慌てていると、グリムジョーが怒ったような顔で口を開く。
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