第5章 剣の舞*坂田銀時、土方十四郎
れんが見ていた限り、一応全員が間に合って地面を這いつくばい、無事出口へ逃げてきた。
こちらも黙って見ているわけにはいかないと、バズーカを構えてダンボール目掛けて何発も撃ち込む。
相手の動きが静かになったようなので攻撃をやめ、煙が充満した部屋を目を凝らして窺う。
すると更に奥の扉がギギ…と開く音がした。
向こうから二つの影が部屋の中心へと近付く。
(誰が…)
暫くして煙が落ち着くと、その影が正体を現した。
「…銀さん!?」
「よ、よぉ…」
両手を拘束された銀時が力なく笑う隣には、銀時に銃を向けてほくそ笑む、このホテルのオーナーがお目見えになっていた。
その周りは恐らく敵のであろう血液が床に広がっていて、隊員達が顔を歪める。
「おや…お知り合いでしたか…?」
オーナーはれんと銀時を交互に見て、邪気を帯びた顔で笑った。
「ならば話は早い…」
ますますゲスい笑を浮かべ、銀時の頭に銃口を突きつける。
「この者の命が惜しければ、我々の薬を合法にしてもらいたい…儲けた額はそちらにも渡してあげようじゃないか…。どうだ?」
真剣な顔で交渉を持ちかけるオーナーには悪いが、こちら真選組は…あまりのバカバカしさに呆れ返っていた。
オーナーがどうだどうだと急かす中、十四郎は刀を下ろして告げる。
「いや、そいつの命ぐらい惜しくねぇから断る。」
「ちょっと土方くーん!?見捨てるの!?俺見捨てちゃっていいの!?」
必死に助けてとアピールする銀時だが、真選組は全く聞く耳を持たない。
これにはオーナーも焦り、更に声を荒らげる。
「おい!こちらには人質がいるんだぞ!」