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【短編集】ILY【R18】

第5章 剣の舞*坂田銀時、土方十四郎


(…あれ?)

れんは銀時とのやり取りをまた思い出す。

『だからあのジジイ…』

今日は忙しくなるから仕事に来て欲しい。とホテルのオーナーに依頼を受けたと言っていた。

れんの中に違和感が生まれる。

(まさか…知ってた…?)

ホテルのオーナーは、今日が突撃する日だと知っていたのではないか?
それでもしオーナーが組織の一員なら…

思考を巡らせている内に先頭は扉を開けて中へ突入する。

(あ…!)

中に入った瞬間、敵が武器を構えていて一斉に…
そんな地獄のような絵はれんの頭の中だけで終わり、目の前に広がるのは、誰もいないアジトに足を踏み入れている隊員の姿だけだった。

「…いない…のか?」

ザワつく隊員達に混じって十四郎が呟く。
積まれたダンボールが散財していて、いかにも物置き部屋という感じのアジトだ。

突入隊が部屋を見渡しながら外の隊員と無線で話す。
外で待機しているれん達も静かに固唾を飲んでいた。

「何か怪しい動きはないのか?」

スピーカーから外の隊員の「ありません」という声が漏れる。
何がどうなっているのか、れんは眼光を鋭くして部屋の端から端へ目線を移動させる。

その時、ダンボールの隙間で何かが光った。

「伏せろ!」

同じくその何かに気づいた局長が声を張り上げる。
それを合図に、部屋に積み重ねられたダンボールから容赦なく銃弾が飛んできた。
敵は居なかったんじゃない。隠れていたのだ。
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