第2章 好きなのに*六道恭平
れんと最後に体を重ねたのが4日前。
なかなか減らない仕事をこなし、次にれんと過ごせる日を楽しみにしながら過ごす毎日。
だけど、ここ最近は夜遅くにシャワーを浴びに帰って着替えて、すぐまた仕事へ向かうことが多くて、寝ているれんにそっとキスをするだけのため…もう完全にれん不足。
(今日は早く帰れるな。)
テレビ局の楽屋の時計を見上げて19時であることを確認し、
次のラジオ局へ向かうため楽屋を後にした。
REVANCEラジオの収録が終われば帰れる。
今夜はれんとゆっくり過ごそう。
そう思いながら軽い足取りでエレベーターに乗り込もうとした時だった。
「恭平さん、ちょっとお願いがあるのだけど。」
この声には聞き覚えがある。
立川あゆ…今や男女年代を問わずに愛されている国民的大女優。
そして、某テレビ局の総合プロデューサーの娘でもある。
彼女とは何度か番組で共演したことがあり、REVANCEの冠番組に出たこともある。
そのため俺達とはかなり親交がある。
それに彼女と俺は…もう二年前の話になるが、一度だけ肉体関係を持っていた仲でもあった。
しかし今では何事も無かったかのように接している。
振り返ればにこやかな笑みを浮かべた立川が立っていた。
「今度父の主催でパーティーがあるの。良ければいらっしゃらない?」
「良いぜ。日時は後で伝えてもらえれば助かる。」
「ならあなたに電話で連絡しておくわね。」
「それだけ伝えたかったの。」と立川が去っていった後、エレベーターに乗ってラジオ局へと向かった。