第2章 好きなのに*六道恭平
「おはよう。」
1階へ降りてリビングへ向かうと、朝食を用意しているれんと目が合う。
「お、おはようございますっ。」
挨拶を交わしただけなのに、昨日の夜のことを思い出したのか
耳まで赤く染めてぎこちなく目を逸らされる。
俺としては、誘っている仕草のようにしか思えないんだが…というのを言ってしまうと…
「朝から妄想か?これから部屋に戻って付き合ってやってもいいけど…どうする?」
「からかわないでください!」
って可愛い顔で拒否されてしまう。
「まったく素直じゃねぇな。」
「そんなの願い下げです!」
そんな風に可愛い言い合いをしていると、
ここがREVANCE専用スタジオで他のメンバーも居る事を忘れて、
俺はれんと新婚生活を送っている気分に浸ってしまう。
「れんちゃんおはよー。」
その時丁度降りてきたアオにれんが笑顔で挨拶を返す。
「アオちゃんもおはようございます。」
「あれ?恭ちゃんが珍しく早起き。」
「それはこっちのセリフだ。いい気分を壊しやがって。」
「えええ!?突然の八つ当たり程理不尽なものはないよ…。」
「えと…山田さんにご飯あげてきますね。」
いそいそと中庭へ消えていったれんの後ろ姿を見送り、
俺はケータイを開いて今日のスケジュールを確認した。