第5章 剣の舞*坂田銀時、土方十四郎
「…ここから歩いて行くぞ。」
敵のアジトと思われるホテルから数メートル離れた所で停車し、ホテルの窓から敵に見つからないであろうルートを進む。
ホテルからこちらを覗く人影がいないか監視する役と無線でやり取りし、ホテルに到着した突撃部隊の皆が地下通路に続く扉を開く。
(何だかあっさりって感じだけど…)
少し余裕ができたれんは銀時のことを考えた。
今日はここのホテルで仕事があると言っていたが、もう仕事は始まっているのだろうか。
暗い地下通路を照らし、ゆっくりと進む先頭に落ち着いて続く。
奥まで進んで扉が見えたため、部隊は素早く各自のポジションに着く。
ドアに背を凭れて銃を構え、最初に突撃する役割を負う者。
そしてれんのように、先頭の合図があるまで後ろで待機する者。
十四郎はどちらかと言えば前者のはずだが、何故かれんの隣で飄々と刀に手をかけている。
「あの、なんで居るんですか」
ボソッと十四郎に言うと、睨みを利かした目で見られ、サラっと無言で流される。
(いやいや、聞かなくても分かるだろうみたいなのやめてってば…)
少し、イラッときたれんは無造作に刀に手をかけ前を見据えた。
突撃する者はまだドアに耳を付けて中の様子を確認している。