第5章 剣の舞*坂田銀時、土方十四郎
「あんまりそいつをいじめるんじゃねぇ。」
十四郎が助け舟を出してくれたのは良かったが、その言い方とあまりにも遅い反応に腹が立ち、れんは微妙な十四郎のモノマネを披露した。
「いじめるなら俺にしろ。」
「俺助けたよな!?っつーか似てねぇ!」
なぜ似てないモノマネをしたのか。それは隣の人を見ればすぐにわかる。
ここぞとばかりに十四郎に銃口を向け、洗練されたブラックスマイルを浮かべる総悟を見れば。
「さすが土方さん、女をいじめるならテメーをいじめろということですかィ。」
「お前ら謀っただろ!」
「何言ってるのか分からないんで、取り敢えずバズーカ浴びてください。はい。」
「文脈繋がってねぇ!」
総悟のバズーカ発射まで残り0.5秒という所で、車内に局長の声が響いた。
「お前ら!遊びに行くんじゃねーんだぞ!」
局長のお叱りを受けたれんと総悟は一瞬で黙り、十四郎は呆れ顔で前へ向き直った。
静かになった車内は一人の溜息すらも響いてしまうほど。
皆緊張していたのだ。
いくら腕に自信があっても、いくら戦線を駆け抜けてきても、命懸けとなれば並の集中力では死んでしまう。