第5章 剣の舞*坂田銀時、土方十四郎
「んで、今日が前言ってた日だったよな?」
歯磨きを軽く済ませて朝食を食べる。
「うん…上手くいくと良いんだけど…。」
最近、歌舞伎町を恐怖に陥れている催淫剤の違法販売組織がある。
流通ルートがあまりにも多く、取り締まるだけでは到底解決できないと松平片栗虎が判断し、数々の情報から奴らのアジトを割り出し、入念に練った計画を実行するのが…今日だ。
「そういやお前一番隊だもんな。最前線か?」
「うん。今まで何度も突撃することあったけど、やっぱり怖いよ。」
不安で箸が進まないれんを慰めるように、普段は優しい言葉を言わない銀時が口を開いた。
「…お前の剣術は本物だ。それにチンケな野郎共にやられるようなれんじゃねぇだろ。」
この言葉に少し嬉しくなったれん。
「銀さんに褒めてもらえたら、本当にそんな気になってしまいますね。」
「…照れるな…。」
「へ?何か言いました?」
「何も言ってねーよ。んで、そのアジトってどこにあるんだ?」
れんは一瞬だけ、言うのを躊躇う素振りを見せる。
超秘密事項を口外するのは後ろ髪を引かれたが、銀時になら…。
「歌舞伎町セントラルクイーンホテルです。」
銀時は頭を殴られたような衝撃を受けた。なぜなら…
「…今日の仕事場かよ…。」
「ええ!?」
「くそっ…だからあのジジイ、今日はいつもより大変だから手伝ってくれって言ったのか…。」
あのジジイとはホテルの清掃員のチーフだ。
「でも組織があるのは地下だから、大丈夫だと思うけど…。」