第5章 剣の舞*坂田銀時、土方十四郎
真選組唯一の女性剣士、陽月れん。
万事屋に寝泊りし、昼間は仕事で真選組へ。
こんなややこしい、というかライバル関係にあたる二組を行き来する生活を送ること一年。
れんは万事屋に居ても真選組に居ても、何か違和感を感じるようになった。
妙にれんに対してよそよそしい坂田銀時。
なぜかれんの近くにいることが多い土方十四郎。
れんは昔から剣術と学問に優れていたため、真選組では沖田総悟の一番隊に所属している。
そのため何かと危険な場所に赴くことが多い。
れんが敵の陣地に突撃しようとした時も、暴れた犬に追いかけ回された時も、石に躓いてこけそうになった時も、何故か十四郎が「危ねぇだろ!」と言って登場するのだ。
ストーカーですか!なんて面と向かって言えるわけがなく、その度れんは「ありがとうございます…」と大人しくお礼を言うようにしている。そして満足そうに去っていく十四郎を見送る。
「…また土方さんに追いかけ回される夢…はぁ…萎える。」
目覚ましに起こされたれんが、悪夢を見たように頭を抱えて顔を顰める。
最近になって、十四郎に尾行される夢を見ることが多くなった。
それだけ脳も危険視しているということなのか…。
取り敢えず顔を洗うため、洗面所に行くと銀時が歯磨きをしていた。
「あ、おはようございます。」
「んんんー。」
多分、「おはよー。」って言ったのだと思われる。
口の中の泡を吐き出して、軽く水ですすいだ後れんに洗面台を譲る。
「お前いつにも増して酷ぇ面してるな。」
「元が酷くてごめんなさいね。整形費用出してくれるなら解決しますよ。」
「失敗された後、私綺麗?とか言って俺を追いかけ回すなよ。」
「想像したら笑えました。」
「自分で言うのかよ…。」