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【短編集】ILY【R18】

第3章 気付くのはいつも突然*黄瀬涼太


早くも次の日からマネージャーが交代し、れんも黄瀬も新しい日常を歩み始めた。

「初めまして、水原柚木です!まだまだ分からない事が多いので、色々教えて下さい!」

ショートヘアで可愛らしい笑顔。
芸能人になるには充分オーラも華もある子だった。

(流石19歳…初々しくていいなぁ〜。)

「うん。私もまだマネージャー歴は浅いけど、一緒に仕事頑張ろうね。」

「はい!」

とは言ったものの、心の中では黄瀬のことをずっと気にかけていた。

まだ水原は新入りのため、名前を売るために雑誌やモデルの仕事を中心に、あちこち全国を巡って活動した。

「黄瀬君じゃなくなって、心配していたけど案外大丈夫かも。」

オフの日の前夜、録画しておいたドラマを鑑賞していると、画面の中でずっとすれ違っていた男女が、お互いの気持ちを伝え合って抱き合うシーンが映る。

(…。)

無意識の内に自分と黄瀬がそうなっている妄想が広がる。

「いいなぁ…私も黄瀬君に好きだって言えたらなぁ…。」

ポーっとしばらく妄想に浸っていた時、20時だというのに家のチャイムが鳴った。

「え?誰…?」

恐る恐るインターホンから誰かを確かめて、れんは唖然とした。マスクをしていたが、すぐに分かった。
さっきまで妄想していた相手が、ドアの前に立っている。
れんは戸惑いながらもテレビを消して、ドアを開けた。

「黄瀬君?どうしたの?」

「れんさん…突然ごめんなさいッス。俺、言わなきゃいけないことがあるッス。」

「えと、とにかく入って。」
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