第3章 気付くのはいつも突然*黄瀬涼太
一カ月前、事は前触れも無く起こった。
休憩時間に楽屋のソファーで寝ている黄瀬をれんがチラリと見た時、黄瀬の股間が盛り上がっているのを偶然見かけた。
いわゆる男の生理現象。
れんは男性経験はあったがそれを目の当たりにするのは初めてだった。
(…うぅ、なんかいけないものを覗き見しちゃった気分…。でも、仕方ないよね…スキャンダルには注意しないといけないから、できてないだろうし。)
そう思いながらもれんは黄瀬の隆起しているモノから目が離せなかった。ボーッとしながらずっと同じ状態でいたため、れんは黄瀬が目を覚ましていたことに気付かなかった。
黄瀬の方も寝起き早々自身の異変に気付き、下部に目を向けると、寝ている間に元気になってしまった自身があって。正面に目を向けると、黄瀬の自身から視線を外さないれんがいて。
れんは化粧台前の椅子に座ってどこか別世界にでも行ってるのか、しかし黄瀬の股間から目は離さないという技を披露している。
「…れんさん。」
黄瀬の呼びかけにハッとしたれんが妙に慌て出す。
「…男の生理現象じっと見つめて楽しかったッスか?」
「あ、いや、違っ!そうじゃなくて…!」
「違うんだったら何でそんなに顔赤いんスか。意識して見てたってことッスよね?」
「あ…う、はい…すみません…。」
黄瀬は別に怒っていた訳ではなかった。
ただ寝ている間に勃ったということは、欲求不満の証。
溜まったモノをどうにかしたいが、時間もなければ相手もいない。
やりきれないモヤモヤを抱え続けて限界を迎えそうだった。
あー誰か救世主はいないのか、と深く息をついた時、れんの遠慮するような声が黄瀬の耳に届いた。
「あの、私で良ければ…。」