第17章 【夜シリーズ】イロコイ【緑谷出久】
文字と数字で表されていたのは、都内の高級ホテルの一室と待ち合わせ時間で…
意を決してその誘いを受け入れた日から、私達の距離は一気に縮まった。
「私も、すごく緊張してる…かも。」
「一緒だね。」
クスッと笑った出久の顔が可愛くて、釣られて私の表情筋も緩む。
なるべく体重をかけないように組み敷かれ、彼はもう一度私の唇を奪った。
「ン…は、」
チュク…と、湿ったリップ音がやけに大きく響いた。
思考も体も蕩け切って、出久の手が体のラインを確かめるように這わされる。
触れられた部分が熱を持ち、全身の体温も釣られて上がる。
「…その顔、すごくそそられるな」
「―――!!み、見ないで…」
「恥ずかしがらなくていいのに…」
出久は顔を隠した私の手を掴み、優しく退かしながら額にキスを落とした。
視界を遮るものがなくなり、見つめ合うと感情が高ぶって、心臓が肋骨の中で騒ぎ始める。
「は…あ、待っ……」
「…今すぐれんさんが欲しい。」
いつの間にか、可愛い仮面を外した出久が私の服に手を伸ばす。
瞳に宿った野性的な視線に射抜かれ、私の背筋に甘美な電流が流れた。
(ロールキャベツ男子、っていうんだっけ……)
私は出久の雰囲気が切り替わる瞬間がとにかく好きだった。
好戦的な彼の表情がたまらなく体の奥を疼かせるのだ。
「綺麗だよれんさん…」