第2章 好きなのに*六道恭平
「私、ずっと思ってて…その、私じゃ恭平さんを満足させてあげられないかなって…。」
「…は?」
俺は心底驚いた。
いつも触れるだけで俺は天にも昇る気分になるというのに、
れんは自分じゃ相手にならないと思っていたなんて。
「いつも私ばっかり受け身で、気を失っちゃうし…男の人って、マグロは嫌…なんですよね?」
「…そんな事気にしてたのか…。れん、一つ言っておくが、俺はお前を抱いて嫌な気持ちになったことも、満足しなかったことも一度もない。…ただ、俺とのセックスがお前の悩みになっていたなんてな…気付いてやれなくて悪かった。」
「あ、謝らないでくださいっ、私が思ってだけで…!」
「れん…。」
俺は…どうすればいい?
どう抱けばれんが苦しまなくていい?
自問を頭の中で何度も繰り返していた時、れんがたどたどしい声で俺に話しかける。
「あの、恭平さん…今日は、私から…いい、ですか?」
その言葉は間違いなく、奉仕の申し出で…。
自分からやりたいと言ったれんの目の奥には密かに不安の影があって、きっと初めての行為なんだと悟れた。
「れん、して欲しい。」
口から零れた俺の素直な気持ち。
すぐに訪れる快感のために、両脚を軽く左右に開いた状態でベッドの上に腰を下ろした。
れんはそれで意を決したのか、体を起こして俺の脚の間で体を折る。
ズボンのチャックを下ろし、膝あたりまでズボンを下にずらした後、パンツを押し上げてはち切れんとばかりに勃起した俺自身をそっと撫でる。
先走りが先端から滲み出たと同時に喉がひゅっと鳴った。
「っ…う、ハァ…っ!」
俺が感じているとわかったれんの目が嬉しそうに笑い、
ウエスト部分に手をかけ、俺自身を窮屈にしていた最後の布を取り払った。