第16章 あなたが全て*沖田総悟
「…………………」
れんは沖田の変化に気付くどころか、やりきった満足感に自ら溺れた。
白い糸を引いて口から零れた肉棒をじっと眺め、少し柔らかくなった幹をもう一舐めする。
どこまでも貪欲な淫乱女…
れんは沖田がそう罵ってくれると思っていたが、肝心の彼は一言も発さない。
やっと異変に感付いたれんは、膝立ちのまま顔を上げる。
「…!ご、ご主人様………?」
沖田の視線とぶつかったれんの体が、震え上がった。
体の奥深くから発生した震えが四肢の末端、脳天までを激しく揺らしたのだ。
「どうした……?怖がる必要なんてねぇぜ…?」
それは、紅い瞳の魔力―――――
人間離れした凶暴さを秘めた眼力に囚われ、身動きがとれない。
目線を自ら外すことができない。
沖田の手が肩に触れた瞬間、彼女の頭に中にあるビジョンが浮かぶ。
絶倫という概念を軽く超える肉槍に貫かれ、彼の気がゆくまで快感という拷問を享受させられる悪夢のビジョンが。
「あ…待って、ご主人様………ヒッ…」
さっきまでは確かにれんが狩人だった。
しかし今はどうだ…
恐れをなし、怯え、ひれ伏す―――まるで命乞いをする獲物だ。
ならば彼が狩人かと問われれば、全く違う。
地獄から蘇った悪魔のように…卑劣な笑みをその顔に湛え、れんを捕食せんと迫り来る魔王だ。
沖田は彼女の声など耳にも入れず、彼女を床に組み伏せる。
全身を粟立たせた愚かな雛は涙を湛え、恐怖に嗚咽を漏らした。
「あァああ゛あ゛――――――ッ!!」