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【短編集】ILY【R18】

第15章 セイレーン*リヴァイ


「へ?…えと…」

リヴァイの発言に動揺した私を見て、彼の眉がピクリと動く。

「今日はどうも様子がおかしい。何かあったんだろ。」

…もう、思い切って訊いてもいいだろうか…?

この際嘘をついても仕方がないと考えた私は、自身が最も危惧していた質問をする決意を固めた。

「どうして、リヴァイは私を抱くの…?」

「…抱く行為に深い理由が要るのか?ただ相手を求めて…それだけだろ。」

「そ、そっか…なら、リヴァイが私を選ぶ理由って、何?」

リヴァイは私の問いかけに暫し沈黙し、思いついたように私の髪に触れた。
指先にくるくると髪を巻きつけ、ゆっくり口を開く。

「…黒髪も良いなと思ったからだ。」

「…!」

まさにその時だった。
私が自らの愚かさを悔やみ、恨んだのは。

最初から分かってたじゃない…彼は住む世界が違う人で、私のような下衆な人間が恋焦がれるなど言語道断であると。

リヴァイの一言で全てを悟ると、目頭が熱くなって涙が溢れた。
「おい、どうした」と彼は私の頬へ手を伸ばすが、私はそれを払って首を横に振る。

違うの…放っておいて…

私の頭に浮かぶのは…いつか見た、調査兵団の制服を着た私と瓜二つの女性。
彼女の髪は、栗色だった。

そしてリヴァイは、黒髪“も”良いなと思ったからだ、と言った。

「…そうだったんだ……」

「シーナ?」

思った通りだった……

リヴァイの心の中に居るのは、その女性だったんだ…。
誰か一人を特別扱いできない環境に身を置くために、好意を寄せている人の姿を私に重ねて抱いていただけ…。

私がどれだけリヴァイに振り向いてもらおうと頑張っても、私自身に彼の心が向くことはないんだ。

「違うの…私の髪のこと、初めて褒められて…嬉しくて、」
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