第15章 セイレーン*リヴァイ
それから何日経ったのかは分からないが、漸くリヴァイと会える日が来た。
暗い部屋の扉がギギ…と音を立て、廊下から漏れた光がこちらに差す。
待ち望んだ彼を迎えるために、私はそっと立ち上がった。
私は少し、勇気を出してみることにしたのだ。
「シーナ…」
姿を見せた彼は上着を身に着けておらず、立体起動装置やブレードも無い。
部屋に入るとすぐ、リヴァイは私の元に来てくれる。
彼の表情はとても穏やかで、私が腕を絡めるとグッと引き寄せてくれた。
「ねぇリヴァイ、会うのいつぶりかな?」
「さぁな…いつもよりかは早く来ただろ。」
そっか…リヴァイにとって、会えない期間は苦痛じゃないんだ…。
私はこの場所で、永遠にも思える時を過ごしたのに。
「…そうね、嬉しいわ。」
私は笑顔を取り繕い、リヴァイの首に抱きつく。
少しでも彼の気持ちを知りたくて、私は自ら唇を奪いに行った。
舌先でチロリと彼の唇を舐め、薄く開いた隙間に熱を捩じ込む。
探るように口蓋を刺激して、歯列をなぞるとリヴァイの指先がピクリと反応した。
「…ん、」
やられっぱなしが気にくわないのか、リヴァイが手を私の後頭部に回し、口付けを更に深くする。
受け身だったリヴァイの情熱が私に絡み、私を振り回して翻弄する。
さっきまで主導権を握っていたのは私なのに、気が付けば形勢逆転していた。
「、は…ん、…」
湿ったリップ音が狭い部屋に木霊して、縺れるように二人でベッドに倒れる。
「今日は手加減無しだ。いいな?」
私を組み敷くリヴァイの目を見れば、シーツに沈んだ背が戦慄く。
刺すような視線は獣そのもので、骨の髄まで喰われるのではと脳が警鐘を鳴らすのだ。
それでも、私は喜んであなたに身を捧げるわ…
灼熱の業火に魂まで焼かれようとも、あなたに心を奪われた罪は永遠に消滅しないのだから…