第15章 セイレーン*リヴァイ
「…また来る。」
綺麗な彼の手に掬われた私の黒髪が、スルリと指の隙間から零れる。
彼は名残惜しそうにその動作を何度も繰り返し、少し感情を露わにした表情で立ち上がる。
細められた切れ長の目は、この瞬間だけは私のもの。
「はい、待ってます…。」
身支度を整えた彼は私に背を向け、振り返ることなく部屋を出て行った。
また、孤独な生活が始まる。
早くあなたに会いたい。
飢えた男を誘い、抱かれるだけが生きる目的のこの場所で、私に差した一筋の光。
それは闇に生きることを強いられてきた私にとって、あまりにも眩しすぎた。
ねぇリヴァイ…今度はいつ会えるの…?
人類最強と呼ばれる彼は、最初から私を指名してくれた。
きっと酷い抱かれ方をされると思い、震えていた私を恋人のように愛してくれたのだ。
他の娼婦たちから妬まれ、嫌がらせをされたって…私はあなたのためならいくらでも耐えられる。
だって、私は………