第2章 好きなのに*六道恭平
泣きじゃくるれんを無理矢理押し倒し、組み敷く。
愛しい人が泣いているというのに、こうして上かられんの顔を見下ろせる事に悦びを感じた。
「ヒッ、やだっ離して!ンッ…!」
軽くヒステリーを起こしているれんの唇を荒々しく奪う。
勢いに乗って唇のわずかな隙間をこじ開け、情熱を絡めとる。
反射的に俺から離れようとするれんの後頭部を手でがっちり固定し、背中にも手を回してグッと引き寄せる。
「っ!…んんっ…!」
口内を侵され続けるせいでくぐもった声しか出せず、
息苦しくなってきたのか俺の胸板を力なくドンドン叩いてくるも、
その頼りない反撃は俺のどこか深い所に眠っていた加虐心を煽るだけだ。
「んハッ…ひどい…!恭平さ、んなんてっ…!」
「俺がどうしたって?」
唇を離した瞬間に飛び出した、俺への拒絶の言葉。
だけど、それさえも俺にとったらただの興奮材料で。
涙の膜で潤んだ瞳、紅くなった目尻と瞼。
2人の唾液で淫靡に濡れた艶やかな唇。
その間から覗く欲情に染められた肉色の舌。
もう耐えられなかった。
「やらぁ…っこんなのイヤっ!」
本能に従うままれんのドレスを息をつく間も無い程素早く脱がせ、ストッキングを脚から抜き、あっという間にキャミソール姿へと変貌させる。
「嫌って言う割には抵抗しなかったな?」
「うう…グズッ…だって、怖っヒック、いの…っ!」
子供のように手で涙を拭いながら、しゃくりあげて泣くれんの姿に少し胸がチクリと痛んだ。
でも…こうさせたのはれん…
俺がお前をどれだけ愛してるかわからせるためなんだぜ?