第14章 鶴の一声*○空条承太郎、花京院典明
心の中で突然吹き荒れた大嵐。
襲い掛かる荒波に酔ったように、足元がフワフワと踊る感じがした。
本当に二人は行為に及んだのか、確かめなければッ…!
燃え尽きるほどヒートしている花京院の手を退かし、まだまともに会話ができそうな承太郎に話を振った。
「てことは、承太郎と花京院、ヤッたの…!?」
「してねぇ…。お互い耐えようって、陽月が来る前に話してたんだ。」
ああ、そう……内心ホッとしたのか残念なのか分からないけど、そうか耐えるんだ…。
というか、男同士の部分は突っ込まないのね…。
「そうなんだ…じゃあ、私はお邪魔虫だから帰るね…」
辛いけど頑張ってね、って花京院に言うために振り向くと、彼の纏う空気が…何か、邪気にも似た熱を含んでいるのを肌で感じた。
「か、花京院…?」
「……!」
問いかけに対して無意味に開かれた彼の唇。
私の肩は逞しい両手に捕えられ、グッと顔を覗き込まれた。
「…ぼ、僕は、陽月さんが…!」
その瞬間、私の奥深くを射抜くような眼光の裏側に、ユラユラと燃え盛る熱情を垣間見た気がした。
自惚れでないとしたら、花京院は私を好きだと言いたいのだろうか…?
まさか、承太郎を振り回していたのは…承太郎の好意に気付いていたのではなく、私を好きだから自然とそういう感じになっていただけなのか?
頭の中に休むことなく浮かんで来る憶測。
花京院のあと一言で、目まぐるしく回り続ける疑問に終止符を打てるというのに…横から伸びてきた承太郎の腕に阻害されてしまった。
「それ以上は言わせねぇ」
「あ、え!?」