第14章 鶴の一声*○空条承太郎、花京院典明
「お、承太郎学ラン脱いでるんだ。お風呂上がり?」
「…ああ。今日は、暑いからな。」
ベッドに腰掛ける承太郎は私を流し目で見て、少し濡れた髪をかきあげた。
学帽なしの学ランなし…水も滴るいい男…
いつもより雑に着たシャツがもう…色気が凄まじくて頭がクラクラしてくる。
チラッと覗いた承太郎の頬は火照っていて、先程の花京院を彷彿とさせた。
「じゃあ、花京院ももうお風呂に入ったの?」
私の後に続いて入って来た花京院にも尋ねる。
すると彼は、落ち着かない様子で私の隣に立ち、オロオロと視線を泳がせ始めた。
「いや、そういう訳では、ないのですが…」
「ん?どうしたの?なんか苦しそうだけど…熱?」
私がググッと背伸びをして花京院の額に触れようとした時、彼はビクッと肩を震わせて反射的に一歩後退する。
(ええ…何か傷付く…)
きっと私がショックを受けた顔をしていたのだろう、花京院は宙を漂う私の手を取り、更に顔を赤くして慌ただしく言葉を紡いだ。
「あ、あの、僕たち、実は…、」
普段の花京院とは似ても似つかない慌てぶりと、手から伝わる彼の体の熱さ。
何か言ったらマズい事でもあるのか、それから先を言えなくなった花京院への助け舟は、承太郎が横から出してくれた。
「…さっきから、なぜかは分からねぇが……性欲が湧いてきやがる」
私がこの部屋に来た時と変わらないポーズで、直球に説明をしてくれた承太郎。
とても冷静かつ分かり易い言い方をしてくれてありがとう…
……はい?
え?なした?なした?
私がこっちに来る前に、お二人さんヤッちゃったってこと?
「えええええええ――ッ!?」
堰を切ったように叫んだ私の口を、花京院が大きな手で塞ぐ。
色んな意味で瞠目した私と、女の子のように涙を溜めた花京院の目が合った。