第14章 鶴の一声*○空条承太郎、花京院典明
(あ〜…今日も大変だった…)
容赦なく襲いかかるDIOの刺客たちは、今日もやる気満々で私達に挑んで来た。
それも承太郎が活躍して倒してくれたので、私は無傷だし心はピンピンしている。
なのに肩にのしかかる疲れは重い。
「エジプトを目指す旅だから、移動がキツいんだよねぇー…」
昨日とは違うホテルのシャワーを浴びた後、背中からベッドにダイブする。
天井を見上げて間抜けな顔をしながら、何か面白いことはないかと考えた。
承太郎と花京院は今頃何をしているのだろう…?
その時ふと頭を過った、私にとって普遍的な疑問。
午後6時30分を指している壁の時計を見て、私はムクリと起き上がった。
気になるなら乱入すればいいじゃないか…!
すぐさま部屋を飛び出して、朗らかな足取りで数歩離れた隣のドアまで歩く。
鼻歌交じりに右手を伸ばし、弾むようなノックをした。
コンコンコン…
数秒後には中から誰かの足音が近づいて来て、ドアが開く瞬間をハラハラしながら待つ私の期待も膨れる。
ドアノブがガチャっと音を立てて傾き、開いた隙間から顔を出したのは花京院だった。
「陽月さん…どうしたんだい?」
ああ…今日も美しい前髪が麗しく揺れてらっしゃる…。
花京院は、いつも優しい言葉遣いで私に事情を尋ね、救い主のような笑顔で接してくれる。
私が一歳年上ということもあるだろうが、世の中にこんな好青年はそう居ないだろう。
「あのね、ちょっと聞きたいことがあって、お邪魔しても大丈夫?」
「え…あ、構わないですよ…どうぞ。」
まるで執事のように華麗な動きでドアを大きく開き、私を先に部屋へ招き入れてくれる。
花京院の顔が火照っているのを気にしながら、どうもー、と頭をペコペコ下げて私は奥へ歩みを進めた。