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【短編集】ILY【R18】

第2章 好きなのに*六道恭平


広間を出て、誰もいないバーカウンターのある部屋に二人で入る。
壁際のソファに腰を下ろすと、身体をピタリと添わされた。

「珍しいじゃない。あなたが嫌そうな顔をするの。」

俺の顔を上目遣いで見つめ、腕に胸を押し付けて来る。

「…お前もいつからそんなに媚びるようになったんだよ。」

「媚びる?冗談言わないでよ。私とあなたの仲じゃない。普通でしょ?」

「二年も前に一回そうなっただけだろ。」

「そんなにあっさりされちゃうと悲しいわね。私は今でもあの時のことを忘れてないのに。私達、カラダの相性良かったでしょ?」

そう言って立川が俺の頬をツーとなぞり、立川の方を向かせる。

「今の彼女はいつまでが期限なの?そろそろ私に乗り換えない?」

「悪いが、俺の彼女は期限付きじゃねぇ。それにお前なんて視野に入ってねぇよ。」

「…はぁ。昔は抱いてって言ったらすぐに抱いてくれたのにね。面白くないわ。」

立川は興醒めしたのか俺から離れ、そのまま部屋を後にした。

俺はようやくキツイ香水と胸糞悪さから開放されて、溜息を吐き出してしばらくソファに埋もれた。
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