第2章 好きなのに*六道恭平
身体のラインが綺麗に出るだけのデザインのドレスならまだしも、胸元がぱっくり開いていて、なおかつ丈が短くて脚の露出が多い。
薄紫のカクテルドレスに緩くふわりと後ろで束ねられた髪が…はっきり言ってエロい。
ノースリーブで大胆に肌を見せられ、いてもたってもいられなくなった俺はとにかくれんの手を引っ張って、メンバーから離れた場所に移動した。
「きょ、恭平さん?」
何事かとれんが俺の名前を呼ぶが、それに答えず会場の隅に連れ込んだ。
「ど、どうしたんですか…!?」
「…お前、自分がどんな格好してんのかちゃんと分かってるんだろうな?」
「へ…これ、ダメでした?」
不安顔をして口をへの字に曲げたれんの破壊力に抱きしめたくなるのを抑えて、いつもの笑顔を見せながら余裕たっぷりの言葉を投げかけてやった。
「バーカ。似合いすぎなんだよ。やっぱり俺の彼女は…飾らないから、いざ飾るとなると変貌するな。」
「へ、変貌…!?」
目を丸くするれんが可愛くて、その細い腰を抱き寄せそうと腕を伸ばした時…あいつの声がそれを阻止した。
「陽月さん?うちの番組プロデューサーが呼んでるわ。」
側にいた立川がれんに話しかけ、「はい!」と返事をしてれんが俺の手を解き、また会場の真ん中に戻って行ってしまった。
「…素直でいい娘ね。あなたの新しい彼女?」
「だったらどうなんだ?」
「もぅ、そんなに睨まないでよ。少しお話しましょ?」