第2章 好きなのに*六道恭平
日が経つのは早く、仕事に奔走しているとあっという間に約束の日曜日が来てしまった。
あれかられんはサブマネの仕事以外、部屋に篭もりっぱなしで何かを書いていた。
「ああ。れんも引っ張り出して連れてきてくれ。」
伊織に電話してれんをパーティーに連れてくるよう頼み、俺は一人挨拶回りのために早めに会場にいた。一応開催時間までにはREVANCE全員が来る予定だ。
「あ、恭平さんもういらっしゃってたのね。」
「六道君が来てくれるなんて、うちのパーティーはきっと大盛り上がりだね。はっはっはっ。」
業者がパーティーの準備でせっせと動き回ってる会場を歩いていると、後ろから立川あゆと彼女の父親に声をかけられ振り返った。
「いえ。こちらこそお呼び頂き光栄です。」
立川あゆの父親にはアピールする価値がある。俺はなるべく礼儀正しく立ち話をし、皆が来るのを待った。
「お前ら遅かったな。」
「恭ちゃんごめーん!でもほら見て!」
開始時間ギリギリに来た皆と合流するなりアオがれんの背中を押して俺の目の前に立たせる。
「ミカン女に着せたいドレスがあるとか言って馬鹿みたいに時間を無駄にしたんだ。」
「いおりんそれは酷いよ〜!」
「本当のコトでしょ。大体妄想サンを着飾らせようとか有り得ない。崇史君も暇そうだったし。」
「…僕はいい曲が降りてきてただけ。」
俺は仲間の会話なんて耳に入らず、ただれんを凝視していた。