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【短編集】ILY【R18】

第8章 わたしたち*緑谷出久、飯田天哉


「もっと咥えて…くっ…」

陰茎に纒わり付く泡立った液を丁寧に舐めとっていると、床に落ちていたれんの携帯が着信を告げる。

「…!」

「…僕が取るよ。」

手が離せないれんの代わりにベッドの下から携帯を拾い上げ、画面に表示された文字を見て緑谷が目を見張る。

「飯田君だ…」

「!…どうし、」

緑谷は思わず愛撫を中断したれんを見やり、何かを思慮するように黙り込む。


(いつもなら、仕事をしてる時間帯なのに…!)

今度はサーッと体温が下がり、緊張した汗が額や背中を伝う。

「静かに…」

緑谷は固まったれんの頭を撫で、肩を押してベッドに寝かせた。

(何を…?)

見上げた緑谷の口角が不気味に吊り上がる。
いつも輝いていた瞳は曇っているように感じた。

良くないことがれんの頭をよぎる。

それは現実となり、緑谷はスマホを操作して耳に当てると、あろう事か飯田と通話を始めた。

(うそ!?待って、…!)

「飯田君…久しぶりだね。」

「デク君 …!?」

「しー。」

咄嗟に起き上がろうとしたれんの口元に人差し指を当て、無言の圧力で制す。

(どうして、デク君…!)

『み、緑谷君!?何故君が…!』
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